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開発

「化学は、すべて成り立つ」からゲームにした話──自作アプリ『Element Poker』ができるまで

「化学は、すべて成り立つ」からゲームにした話──自作アプリ『Element Poker』ができるまで

こういうのがあったらいいな、というアイデアが、昔から頭の中にいくつか浮いています。 『Element Poker』も、その中の一つでした。

発端は「化学は、すべて成り立つ」という感覚

高校の化学で、酸化と還元を習った時のことです。

反応式って、左右の電荷が必ず釣り合うようにできている。当たり前と言えば当たり前なんですが、あの「すべてのパーツが必然としてハマっていく」感覚に、妙な快感を覚えた記憶があります。

そこから、こんなふうに思考がつながっていきました。

  1. すべての元素は「組み合わせのルール」が成り立つんじゃないか
  2. じゃあ 化学式の単語帳(読み方を覚えるカード)が作れるのでは?
  3. いや、暗記カードより 組み合わせが成立するかどうかを競う神経衰弱 にした方が楽しい
  4. ただ合わせるだけだと飽きる。バトル性・心理戦 を入れるなら、ポーカーが最適じゃないか?

こうして「テキサスホールデム × 化学結合」という組み合わせに辿り着きました。

Element Poker の基本ルール

ベースはテキサスホールデムです。 プレイヤーには手札2枚、場には共通の5枚が並びます。

違うのは、カードが イオン であること。

手札と場札の最大7枚の中から 陽イオン(プラス)と陰イオン(マイナス)を組み合わせ、電荷がプラマイゼロになる実在の化合物を作ります

たとえばこんな感じです。

  • Na⁺(ナトリウムイオン)と Cl⁻(塩化物イオン)で NaCl(食塩)
  • Au³⁺(金イオン)に Cl⁻ を3枚集めて AuCl₃(塩化金)

化合物の複雑さ、使ったカードの希少度、実在化合物かどうか──これらからスコアを計算し、CPU(ディーラー)と賭けるチップ(MC)の量で勝負します。

さらに、共通の場札だけで作る綺麗な組み合わせよりも、自分の手札を無理やりねじ込んで作った化合物のほうがスコアが跳ね上がる仕様にしています(1枚につき +300 pts)。「いかに自分の手札を使い切るか」というパズル要素を足すための調整です。


一番時間を食ったのは「点数の公平さ」

開発で一番悩んだのは、実装そのものではなく スコアの振り分け でした。

  • 実在する化合物と、理論上成立する架空の化合物を、どうスコアで差別化するか
  • レアカードを引いた人が強すぎにならないか
  • 逆にレアカードを引けなかった人が、完全に詰まないか

このあたりのバランス調整に、かなりの時間を溶かしました。正直、今でも「もうちょっとこうしたら公平になる」というアイデアが頭にあります。ゲームバランスって、作り手の頭では分からない部分があるんだな、と身にしみました。


こだわりで入れた機能たち

触媒(ワイルドカード)

W⁺ W⁻ という、任意の価数を取れるワイルドカードがたまに配られます。 強すぎるのでペナルティとして 最終スコアが半減 します。確実に勝てる場面のダメ押しに使うか、温存してフォールドするか。使いどころを悩ませるカードです。

化学反応ボーナス

ポーカーの「フラッシュ」「ストレート」にあたる特大ボーナス枠です。

  • 酸・塩基コンボ: H⁺ を含む化合物と OH⁻ を含む化合物を同時に成立 → 中和反応ボーナス
  • 危険物ボーナス: 硝酸アンモニウム(NH₄NO₃)など特定の危険化合物を成立させると発動

チラ見せ

自分の手札1枚を任意で相手に公開できます。レアを見せつけてフォールドを誘うのも、弱いカードを見せてコールを誘うのも自由です。

AIディーラー5種

  • 狂犬(ひたすらレイズ)
  • 堅実(勝算がないと即降り)
  • 教授(レア役のみを狙う)

など、5種類のAI人格を用意しました。相手のクセを読むのが勝つためのコツです。


トーナメントモード

ソロプレイ用に、5人のAIディーラーを連戦で倒す勝ち抜き戦も実装しています。1000チップを握りしめてスタート、途中で尽きたら即ゲームオーバー。最後まで勝ち抜くと、図鑑で隠し元素が解放される仕様です。


オンラインPvP

Pusher を使ったリアルタイム通信で、友人と遠隔対戦できる機能も標準搭載しています。

  1. 専用ロビー(/apps/element-poker/pvp)にアクセス
  2. 対戦相手と合言葉を決める
  3. ホスト側が部屋を作成、ゲスト側が同じ合言葉で入室
  4. マッチング完了、自動でゲーム開始

チラ見せもレイズも、即座に相手の画面に反映されます。


開発期間と環境

製作期間は 約2週間。ちょうど Google Antigravity を使った開発に慣れていた時期で、AI支援のバイブコーディングスタイルで一気に組み上げました。技術スタックの細部は正直AI任せな部分もあるので、胸を張って語れるほどは把握できていないのですが、ひとまず動いて遊べるものになりました。

公開後、特にクレームも来ていないので、致命的なバグは残っていないはずです(たぶん)。


これから

頭の中には、まだいくつか改善案が残っています。

  • スタンプ・エモート機能(PvP中のコミュニケーション)
  • レート戦・ランクマッチ
  • オマハ形式(手札4枚)ルールの追加

無料で遊べます。元素記号を眺めているだけで楽しくなる人、ポーカーの心理戦が好きな人、どちらにも刺さる気がするので、よかったら触ってみてください。

Element Poker で遊んでみる

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