投げ銭の手取り比較|還元率を選ぶ前に、選んでいるのは視聴者でした
「りすなーさんが1万円スパチャしてくれたけど、自分に入るのはいくらなんだろう…」 「外部の投げ銭サービスを使った方が手取りが増えると聞いたけど、どこが一番いいの?」
配信の収益化を考えるなら、投げ銭(ドネーション)の「手取り率」を把握しておくことは重要です。 この記事では前半で公式機能と外部サービスの取り分を比較します。そして後半で、実際に使ってみると「配信者が選ぶ」という前提そのものが成り立っていなかったという話を書きます。
先に結論:「手取り」を軸にした選び方
| 目的 | 選択肢 |
|---|---|
| とにかく手取りを最大化したい | Doneru(外部ドネーション) |
| 配信演出・管理もまとめて強化したい | StreamElements / Streamlabs |
| 難しいことは何もしたくない | YouTube / Twitch 公式機能 |
Twitch・YouTube公式の取り分はどれくらい?
Twitch「Bits(ビッツ)」の仕組み
TwitchのBits(視聴者がチャンネルを応援するためにチャット上で使う仮想通貨)は、配信者には1 Bit = $0.01(1セント)が支払われます。
視聴者がBitsを購入する時の価格はTwitchが設定していて、例えば100 Bitsは購入時に$1.40程度かかります。しかし配信者が受け取るのは$1.00(100セント)。差額の約$0.40がTwitch側の取り分になります。
なおこの「1 Bit = 1セント」は、Bitsが登場した2016年から2026年現在まで変わっていません。変動しているのは視聴者側の購入価格の方で、地域やバンドルによって差があります。配信者の受け取りは世界共通で一定です。
YouTube「スーパーチャット」の取り分
YouTubeのスーパーチャットは、おおよそ視聴者の支払い額の約30%がYouTube側に引かれ、配信者の手取りは約70%となります(税金・地域などにより変動)。
外部ドネーションサービスの強み
外部ドネーションサービスとは、TwitchやYouTubeの外側(配信画面に表示するウィジェット等)で視聴者から直接お金を受け取る仕組みです。 手数料は決済まわりのぶんだけで済むケースが多く、プラットフォームに30%以上持っていかれる公式機能より手取りが大きくなるのが最大の特徴です。
Doneru(ドネル):日本の配信者なら最有力
Doneruは日本発の外部ドネーションサービスで、日本語UIで使いやすく、日本の配信文化に最適化されています。
- 手取り: 「どねされた金額 - 決済手数料 - 決済代行会社利用料」が入金額。プラットフォームへの大きな分配はありません
- 注意: 決済手数料は視聴者がどの支払い方法を選んだかで変わります。 少額のPayPal決済やキャリア決済は率が高めに設定されているため、公式にもクレジットカード決済が推奨されています
- 演出機能: テキスト読み上げ・録音音声の再生・動画クリップ表示などが充実
「一律で数パーセント」ではなく視聴者の支払い方法しだいで上下する、というのがここの実態です。そして支払い方法を選ぶのは配信者ではありません。この点は後半の話につながります。
StreamElements Tips:2026年に運営元と受け取り方が変わりました
StreamElementsはオーバーレイ・ボット・ポイントシステムなど配信全体を支援するツールで、「Tips(投げ銭)」機能も搭載しています。手取りは決済手数料のみです。
→ 2026年7月31日、StreamElementsはRazerによる買収が発表されました。 ツール自体は Razer 傘下の独立プラットフォームとして継続し、オーバーレイ・アラート・チャットボット・ログイン情報はそのまま使えます。
ただし投げ銭まわりだけは変わります。
- 独自の決済基盤 SEPay は終了します
- 既存の SEPay 残高の出金期限は 2026年12月31日
- それ以降も投げ銭を受け取るには、StreamElements のプロフィールに PayPal アカウントを接続する必要があります
StreamElements で投げ銭を受けている方は、残高の出金と PayPal 接続を年内に済ませてください。 ツールが問題なく動いているぶん、お金の導線だけが変わったことに気づきにくい変更です。
Streamlabs Tips:初心者向けの統合環境
- 手取り: 決済手数料のみ
- 強み: Streamlabs Desktopと一体化していて導入がスムーズ。テーマやアラートとの連携がしやすい
- 注意点: 機能を盛りすぎると設定が複雑になる
失敗しない投げ銭導入の注意点
- 匿名性の確認: 誰が送ったのかが分かる設定になっているか、送信者のプライバシー設定を事前確認する
- 返金リスク: 支払い後のチャージバック(クレジットカードの返金要求)に対するポリシーを把握しておく
- 税務申告の対象: 配信で受け取ったドネーションは課税対象です。会社員の副業なら「給与以外の所得が年間20万円超」が申告の目安としてよく挙がりますが、専業か副業か、他に事業所得があるかで条件が変わります。 自分がどれに当たるかは国税庁の情報か税理士で確認してください
- 演出を盛りすぎない: 最初はシンプルなアラートだけにして、視聴者の様子を見ながら徐々に増やす
ここから先は、実際に使ってみた話です
ここまでが一般的な比較です。ここからは正直に書きます。
私が実際に受け取り口を用意しているのは、Twitch の Cheer(Bits)と Doneru の2つです。そして、この2つを使い分けていません。
使い分けていないのではなく、決めているのが自分ではない
最初は「用途で使い分けるものだ」と思っていました。手取りの大きい方に誘導すれば収益が増えるはずだからです。
しかし実際にやってみると、どちらで投げるかを決めるのは視聴者です。
Twitch を見ている人はチャット欄でそのまま Cheer を送ります。Doneru のリンクを踏む人は Doneru で送ります。配信者にできるのは「両方置いておく」ことだけで、その先の選択には基本的に手が届きません。
ここが、比較記事を読んでいたときの認識とずれていた部分です。還元率の比較は「配信者がサービスを選ぶ」ことを前提にしています。 ところが実際の運用では、配信者が選ぶのは「どれを置くか」までで、実際に使われるものを選ぶのは視聴者です。
もちろん「こちらの方が私に多く届きます」と誘導することはできます。ただ、応援してくれている人に手数料の都合で支払い方法を変えてもらうのは、私はあまりやりたくありませんでした。この判断は人によると思います。
導入したときに困ったのは、率ではなく「選ぶ基準」でした
もうひとつ正直に書いておくと、導入時にいちばん困ったのは選ぶ基準が分からなかったことです。
還元率の数字は調べれば出てきます。しかし数字が並んでいても、自分の規模でその差が何円になるのかが分かりません。 「Aは3%、Bは5%」と言われても、月にいくら投げてもらえるのか見当がついていない段階では、比較する土台がないわけです。
結果として、私は「日本語で使えるから」という理由で Doneru を選びました。率で選んでいません。
いちばんの問題は、いくら入ったかを見ていないことでした
そして、この記事を書きながら気づいたことがあります。
私は投げ銭の収益を、確定申告のときにしか見ていません。
普段は見ていないのです。配信中にアラートが出れば「ありがとうございます」と反応しますが、それが月にいくらになっているかを把握していません。 年に一度、申告のために数字をまとめる、それだけです。
つまり、こういう状態でした。
- 還元率の差は数パーセント
- でも、分母(月にいくら入っているか)を知らない
- だから、差が何円なのかも分からない
- 分からないので、サービスを変える判断もできない
還元率を比べる記事は、読者がいくら受け取っているかを把握している前提で書かれています。私はその前提を満たしていませんでした。
手取りを最大化する話の前に、手取りを把握する話が要る、というのが自分の結論です。
比較の前に、手取りを1か所に集める
というわけで、プラットフォームをまたいだ手取りをまとめて見るためのツールを作りました。配信収益ダッシュボードです。
対象月・プラットフォーム・収益種別・金額を入れて追加するだけで、種別ごとの手数料率が自動で当たり、手取り額が出ます。 スーパーチャット30%・Twitchサブスク50%・Doneru 約3% などが初期値として入っていて、実際の率が違う場合はカスタム率で上書きできます。
- 配信収益ダッシュボード: https://www.chapilab.com/tools/revenue
この記事の文脈で効くのは、次の2点です。
1つ目は、プラットフォーム別の内訳がグラフで出ること。 Cheer と Doneru を別々の管理画面で見ている限り、どちらがどれだけ効いているかは分かりません。同じ画面に並べて初めて、そもそも比較する価値がある差なのかが見えます。
2つ目は、年間サマリーと CSV 出力があること。 私のように確定申告のときにしか見ていない人でも、そのタイミングで入力していけば、翌年からは月別推移が残ります。
データはブラウザ内(localStorage)だけに保存され、外部には送信されません。ブラウザのデータを消すと失われるので、定期的に CSV か JSON で書き出してください。無料で、登録は不要です。
なお、ここで出る手数料率はあくまで一般的な目安です。正確な金額が要る場面では、必ず各プラットフォームの公式レポートと突き合わせてください。
まとめ|順番は「把握」→「比較」→「乗り換え」
投げ銭サービスの還元率には、たしかに差があります。ただ、その差を活かすには順番があります。
- まず、いくら入っているかを1か所にまとめる。 分母が分からないと、数パーセントの差が何円か計算できません
- 次に、プラットフォーム別の内訳を見る。 比べる価値のある額が動いているのかを確認します
- そのうえで、乗り換えを検討する。 ただし選ぶのは視聴者なので、配信者にできるのは選択肢を置くところまでです
そして2026年は、StreamElements の SEPay 終了(年内に出金・PayPal 接続)という実務的な期限があります。使っている方はそちらを先に片付けてください。
